お茶という名のパートナー

その時々に合わせて

古今東西、世界中で愛されているお茶は、その種類も豊富です。その中でも日本茶は、食事、間食、くつろぎのひとときには欠かせない飲み物として、日本人の生活に根ざしています。小さな子どもからお年寄りまで、楽しむ年齢層も幅広く、特に年を重ねた人たちには切っても切れないアイテムのひとつです。

気の置けない仲間とは番茶やほうじ茶、ちょっとしたお客様には少しばかり上等な煎茶など、その時その場面によって、私たち日本人は見事に使い分けていますし、それと共に供するお茶請けも選んでいます。気の置けない人たちとのひとときには、駄菓子などの安価で手軽なものを、お客様には少し高級な和菓子などでもてなします。地方によっては駄菓子がお漬け物になることもありますし、場面によっては和菓子がお客様のお持たせということもあります。そしてくつろいだり、おしゃべりを楽しもうという時の言葉は、「一服しませんか」「お茶しようよ」など、たとえ飲み物の対象がコーヒーなどだとしても、お茶に関係する言葉で誘うことがほとんどです。このことからも、お茶が日本人の日常に完全に溶け込んでいることが窺えます。

日常意識することなく私たちの生活の中にある日本茶ですが、それを入手する方法も様々になってきました。かつては専門店が扱っていた日本茶も、今ではスーパーやコンビニのみならず、通信販売でも購入できます。販売網の拡大と共に、以前ならなかなか手に入らなかった銘茶も簡単に手に入るため、名産地と呼ばれる地域の一品や、隠れた名品なども人気を博しています。それぞれの産地によって味も香りも色も違い、それだけにお茶好きにとっては自分の好みの一品を探し出すのも楽しみのひとつです。そんなことも意識しながら、ゆっくりと一服する時間は、まさに至福のひとときになります。

健康的に楽しむために

今、日本茶の持つ健康パワーが注目されています。以前は、中国茶がダイエットに効くと話題になりもてはやされましたが、最近では緑茶の効能が、研究により明らかになってきました。カテキンやフラボノイド、ビタミンCなど、主立った成分の名称は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。また、殺菌作用もあるということで、改めて緑茶が見直されています。

しかしながら、従来の茶葉で淹れる方法では有効成分をくまなく取ることはできません。そこで緑茶の成分を100パーセント摂りたい人が実行しているのが、茶葉を粉末にするという方法です。粉末にすることでお湯に溶かすことができ、その結果、茶葉に含まれる成分をすべて摂取できます。また、殺菌作用に着目してこの粉末茶でうがいをする人もいます。そうした人たちの中には、たっぷりの効能を最大限活用しようと専用ミルを購入する人がいますが、粉末にした緑茶そのものを扱っている店舗もありますので、わざわざミルを買わなくても手軽に粉末の緑茶を楽しめます。

一方、ほうじ茶も私たちの体に良い影響を与えます。ほうじ茶の一番の特徴は、なんといってもあの独特の香ばしい香りですが、この香りがリラックス効果を促します。ほうじ茶は製造過程で茶葉を炒るため、ビタミンなどの成分はなくなってしまいます。その代わりに、ストレスを癒やす香りを身につけるのです。ほうじ茶を口にするとなぜかほっこりしてしまうのは、ほうじ茶の香りのなせる技なのだということが分かります。緑茶の栄養分とほうじ茶のリラックス成分、その時々で上手に活用すれば、豊かな毎日を送ることができます。

時代は移れども

日本にお茶が入ってきたのは平安時代の初め頃、遣唐使が持ち帰ったのが始まりとされています。当時、お茶は大変貴重なもので貴人のみが口にすることができ、また今のように嗜好品というよりは、薬として扱われていました。やがて平安末期になると茶栽培が始まり、室町時代には武士の間にも喫茶の習慣が広まっていきます。さらに安土桃山時代には、千利休らによって茶の形式が整えられ、貴族や武士階級の嗜みのひとつとなります。現在の茶道の源流となるものですが、まだこの時代、一般庶民にはほとんど縁の無いものでした。そんな特権階級の飲み物だったお茶が庶民に親しまれるようになったのは、江戸時代のことです。この頃には煎茶も登場し、今と同じく急須で淹れて手軽に楽しめるようになり、一気に広がりを見せました。

こうした茶文化の発展と広がりと共に、使用する茶器も様々なものが登場します。茶の湯で使用する茶碗などは、その代表格とも言え、中には国宝やそれに準じるものもあります。一方、急須・茶瓶・湯飲みは私たちの日常生活には欠かせません。これらは茶の湯で使用する茶碗と比べると普段使いのものですから、使用する人の状況によって材質やデザインが多種多様になってきます。それでもひとつ、何かお気に入りの茶器を持ってお茶を飲むことでリラックスできることは間違いないでしょう。中にはお気に入りをいくつか持っていて、その日の気分で茶器を選びほっこりしている人もいるのではないでしょうか。

食事の時とは違った日本茶を楽しむ時間は大切にしたいものです。最近はペットボトルの日本茶を愛飲する人も多くいますが、たまには歩みを停めて急須で入れた日本茶を楽しめば、今までとは違った「リフレッシュ」を手にすることができます。