深蒸し茶の生い立ちとおいしい入れ方

深蒸し茶の生い立ちと特徴について

深蒸し茶とは、通常の煎茶よりもしっかり蒸した茶葉を使用したお茶のことをいいます。通常、茶葉の蒸し時間は30秒から40秒と言われています。その一方で、深蒸し茶は60秒から100秒程度蒸します。これにより、茶葉がしっかり蒸され、渋みを緩和し、まろやかな風味に仕上がります。深蒸し茶は、カルキの独特な臭みにも強く水道水でも美味しくいただけることが特徴です。お茶独特の香りは、他の煎茶などと比較すると控えめになっています。比較的抽出されやすいので、お茶でいただくほか水出しでの楽しみ方もおすすめです。
このお茶のルーツは、静岡県中部にあると言われています。それは、明治維新以降、徳川に仕えていた旧幕臣たちの新たな職としてたどり着いた道でした。この荒れた大地を開墾した旧幕臣たちに、地域の農家や、川越の人たちも加わり、盛大な開墾がはじまりました。現在ではおよそ6000ヘクタールあるとされている牧之原に広がる大茶園ですが、ここにたどり着くまでには多くの苦労が伴いました。土地そのものが生育にあまり適していないため、茶摘みができるようになるまでにも歳月が掛かりました。さらに追い打ちをかけるように、他の地域でできた茶葉よりも苦みが強くなってしまうという問題が発生します。この苦みを抑える方法を試行錯誤した結果、蒸し時間を長くするというこの製法が見つかるのです。蒸し時間を長くしてお茶を入れることで、渋みを抑えた現在のかたちに至ります。
お茶にはおいしい入れ方があります。お茶の特徴を理解したうえで入れることで、本来のうまみや渋みを味わえます。

深蒸し茶の入れ方

深蒸し茶の特徴は、茶葉が細かく抽出されやすいという点にあります。これにより冷たい水で入れてもおいしくできるという特徴を持ちますが、入れ方には注意が必要です。茶葉を入れた後、およそ80度に熱したお湯を湯のみに注ぎ、湯冷ました湯を急須に戻して各々の湯飲みに注ぎ入れます。このとき、茶葉をお湯にあまり浸し過ぎないようにすることがポイントです。煎茶の場合は、ポットから直接急須に注ぐことが一般的ですが、一度湯のみに移してから湯のみから急須に注ぐというひと手間が活きてくるのです。
水出しで入れる場合は、茶葉を急須に入れた後、氷を急須に少し入れます。氷と水をあわせることで渋みをより抑える効果を発揮します。そして水を急須に注ぐ際には、急須をまわしながら注ぐことがポイントです。また、この後3分程度しっかり浸して抽出を促してから、均等に湯のみに注いでいただきます。茶葉が細かい深蒸し茶は、濃いお茶を楽しむことができます。深蒸し以外にも、玉露なども水出しに向いている種類になります。
深蒸し茶とは逆に、玄米茶やほうじ茶の場合は、渋みが少ないので高温で楽しんでも、まろやかで飲みやすい風味になります。ですから、玄米茶やほうじ茶は水出しでは薄く物足りないことがあります。これらのお茶は、高温で入れることで本来の香ばしい風味を堪能できるのです。ですから、ほかのお茶が、およそ80度のお湯を一度湯のみに注ぎ入れてから急須に移して湯冷ましさせるのに対し、玄米茶やほうじ茶の場合95度程度の熱いお湯を、ポットややかんなどから直接急須に注ぎ入れることで十分に香りを引き立てます。

お茶と入れ方と水やお湯との相性

美味しいお茶を楽しむためには、茶葉に合った入れ方を理解しておくことが大切ですが、お茶やお湯にも特徴があり適した相性があります。深蒸し茶と水やお湯の関係を中心に、お茶との相性を見ていきます。
お湯の温度は、茶葉の香りを引き立てる効能を持ちます。ですから、お茶それぞれが異なる香味成分を持っていますので、それぞれに適した温度が存在します。お茶の渋みになっているカテキンは、およそ80度以上の高温で溶け出します。お茶のうま味になっているアミノ酸はおよそ50度以上の低温で溶け出します。深蒸し茶の場合は、苦みが強く出やすいため、およそ80度以上の熱いお湯で注いでしまうと、かえって苦すぎてしまう恐れがあります。高温に適したお茶もあります。中国茶や紅茶の場合はおよそ100度に近い熱いお茶で、しっかりと香りや渋みを醸し出すことでおいしく入れられます。
お茶に適した水の硬さもあります。一般的にお茶は軟水が適しており、市販のミネラルウォーターは硬水になってしまうため、お茶にはあまり向いていません。硬水と軟水の違いは、ミネラル分が多いと硬水に、ミネラル分が少ないと軟水に区別されます。なぜ硬水が向いていないのかというと、硬水に含まれるカルシウムなどのミネラル分がカテキンやカフェインとの相性が悪いためです。また、水道水には浄水のために塩素が含まれていますが、こちらは沸騰させてから用いれば、さほど問題にはなりません。ちなみに塩素の濃度によっては塩素独特の臭いが気になるようになるので、注意しましょう。